良き国鉄時代㊳~ED70を訪ねて1975年~

今回の「良き国鉄時代」は、自分が中学3年の時、1975年に撮影したED70形交流電気機関車の写真を紹介させて頂きます。1975年当時は地元の北陸本線ではだんだんとED70を見かけなくなっていた頃でした。北陸本線の田村~敦賀間が国内で初めて交流電化した1957年、昭和32年に華々しくデビューしたこの電気機関車の終焉が近づいていた頃になります。敦賀第二機関区を見学した前年の鉄道雑誌「鉄道ファン」でも1974年11月号で、このことが取り上げられておりED70が牽引している列車の仕業が全て紹介されていました。敦賀から田村へやってくることもほとんど無くなってしまい、雑誌の情報を手掛かりに近所で撮影したり、田村駅まで行っては撮影したものです。そして1975年の秋頃だったと思いますが、思い立って敦賀まで行ってこの機関車の撮影に出掛けました。敦賀駅から南に歩いて、鉄輪町の中を歩いて「敦賀第二機関区」に飛び込みで行きました。事務所に居られた機関区職員の方に「機関車の写真を撮らせて欲しい」とお願いしたら、何と快く了承して下さり、全く自由に機関区内部を見学させて頂けたのです。機関区には当時休車となったED70が沢山留置されていました。嬉しくて夢中になって撮影していたのを覚えています。これまで見た雑誌でEF70が休車になって機関区にずらりと連なっている写真は見たことがありましたが、ED70の休車写真はあまり見たことが無く、自分では大変貴重な写真を撮れたと自負しています。

1975年、敦賀第二機関区にずらりと並んだ北陸線の古豪たち最後の姿。

上の画像は敦賀第二機関区に留置されているED70の4号機と3号機他になります。両機とも車番の数字が一部外されてしまっていました。ちょっと残念な姿になってしまっていて、廃車が近いことを感じました。外された数字は何に使われたのかは不明ですが、今後新製される機関車などに再利用されたのでしょぅか?

上の画像はどれもED70の5号機の写真になります。留置されている写真を見ると、どうやら別の日にも敦賀第二機関区に来ていて同機を撮影していたようです。1975年に2回は敦賀第二機関区に撮影に来ていたようです。本当に、北陸線交流電化のパイオニア、古豪最後の姿を記録することが出来て良かったと思っています。

上の画像はED70の8号機の写真になります。鉄道模型ではこの電気機関車をモチーフにしてカツミ製の16番ゲージのキットを加工して製作しました。軌間は13ミリゲージにして製作して、長浜鉄道スクエアに静態保存してあるED70を見に行っては色合わせや細部の作り込みをしました。その甲斐あってか、鉄道模型雑誌の「鉄道模型趣味」を出版されている機芸出版社主催の鉄道模型車両コンペで「努力賞」を頂くことができました。このコンペにはカツミ製のEF70形交流電気機関車の1次形も同時に出品して、こちらも「努力賞」を頂くことができました。自分にとって、模型でもかなり拘って作りたいと思わせたこの電気機関車のインパクトは強かったと思っています。大変好きな機関車でした。

カツミ製キットを13ミリゲージで製作したED70。
自宅13ミリゲージレイアウトを快走するED70牽引の普通列車。

上の画像はED70の7号機の写真になります。機関区の留置線の一番南側線に留置されていたと記憶しています。1両ポツンと留置されていて物寂しく感じていました。架線もあるので、この場所まで自力で移動してきてパンタを降ろしたのでしょう。

上の画像はED70の9号機になります。機関区のメインとなる大きな建屋の近くに留置されていました。この9号機は鉄道ファン1974年11月号の表紙を飾っています。敦賀第二機関区に新製配置されたEF81との重連で田村から敦賀へ向かう普通列車への連結シーンでした。

上の画像はED70の2号機になります。この機関車はよく田村でも撮影することができました。田村で連結を解かれると、軽いモーター音を奏でながら米原方向に機廻ししていく姿を思い出します。最後の活躍を見ることができて良かったです。このED70は1957年から1959年にかけて三菱電機により19両が製造されました。外観では登場時は前面に貫通扉がありましたが、晩年には扉が埋め込まれて溶接されています。貫通扉の窓の位置も登場時より少し上部になっています。鉄道模型でも前面のパーツを改造して晩年の前面を表現しました。あと19号機は車体の長さが長くて、本来この電気機関車は交流2000V60Hz用なのですが、19号機だけは東北本線での試験運転に備えて50Hzと60Hzのどちらでも使用ができるように作られました。やがてED71交流電気機関車の開発に繋がったようです。自分は写真でしか見たことはありませんが、前面の警戒色の帯の所にテールライトがあり、通風口も付いていて独特の顔をしていたようです。いつか鉄道模型で製作してみたいものです。

1975年引退前のED70を複数回に渡って、本当に間近で自由に見学させて頂くことができました。当時の国鉄敦賀第二機関区の関係者に、改めてお礼を言わせて頂きたいと思います。その節には大変お世話になり、ありがとうございました。正に夢の様な「ED70撮影会」となった1975年でした。ED70は1号機が1975年に引退し、1976年8月から敦賀第二機関区の交流電化の記念碑の傍に展示されていました。屋根が無くてだんだんと痛んできて心配していたのですが、その後日本ナショナルトラストさんのお力添えで2003年からは「長浜鉄道スクエア」で静態保存されています。ファンにとっては大変有難いことに思います。今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

2003年に松任工場から長浜に運ばれてきたED70。
ED70の牽く列車が自宅レイアウトを快走。